夢inシアター
みてある記/No.53

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ディディエ
ディディエ

-didier-

動物モノ? サッカーモノ? でも愛と感動じゃなくってひたすら笑わせるコメディ。

1998.4.21 東京 東劇にて


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ッカーチームのマネジャー、ジャン(ジャン・ピエール・パクリ)は女友達の海外旅行の間、犬を預かる羽目になります。そのワン公の名はディディエ。ところが真夜中閃光が走った、その翌朝、ディディエの寝床にはなんだかわけのわからん若造(アラン・シャバ)が素っ裸でいるじゃありませんか。全然言葉はしゃべらないで、息遣いの荒いこの男、ジャンが追い出しても彼をついてまわります。そう、彼こそがディディエの変身した姿だったのです。一方、ジャンのサッカーチームは負傷者続出で、チームのボスからは、次の試合で負けたらタダじゃすまないって脅されてしまいます。頭を抱えるジャンですが、もと犬のディディエが意外やサッカーのセンスがあったのです。そして、ホントに入団させてしまいます。さて、試合当日ディディエはジャンのチームに勝利をもたらすことができるのでしょうか。

直言ってあまり期待してはいなかったのですが、思わぬ拾い物と言った感じのドタバタコメディです。何の理由づけもなく、突然犬が人間になってしまう。そんなウソのような(ウソに決まってる!)お話をテンポよく運んで、脚本・監督・主演のアラン・シャバは快調に見せます。犬が人間になったという設定のディディエの動きがケッサクでして、まるで人間らしいところなくって、犬そのものの動きで時々ワンと吠える。それでいて、獣人というような生臭いイメージのない、スマートなキャラクターになっています。一切のセリフなしで、かつ人間のくせに犬のかわいげを演じきったシャバの名演でまず楽しませてくれます。ケツの臭いをかぎたがり、メス犬にはさかっちゃうけど、ジャンの言う事には、けなげに従うディディエが、ホントかわいく見えるんですよ。

た、周囲の人間のリアクションもワンテンポずれたおかしさがあります。ジャンが変な若造をディディエだとわかる件とか、ディディエの飼い主と若造のからみなど、あんまりあっさりと、若造=ディディエを認めてしまうのが何とも奇妙で笑えます。そして周囲の人間もどう見ても、変な人のディディエを受け入れてしまうのが不思議な感じがします。それは結局行動は変だけど、「よくみりゃいい人」というキャラクターを作り出したシャバの名演によるものだということになりましょう。催眠術でディディエの前世をみようなんてバカバカしいエピソードまで、なんとなくホンワカムードで楽しませてくれるのですよ。

ッカーの試合のシーンはエキストラも集めてなかなかに見応えのあるものになりました。ディディエが期待にこたえて珍プレー好プレーを見せてくれるのですが、それはどうか劇場でご確認下さい。ウソみたいな展開を「バカだねー」と思いながら楽しむのが正解でしょう。

ジタル合成とかメカニカル効果のスタッフがクレジットされているところからして犬の登場シーンは結構SFXが使われているようです。動物虐待がうるさくチェックされるようになった今日この頃ですから、動物を危険な目に遭わせたり、無理な調教はできないのでしょう。後、犬が微妙な表情の変化を見せるシーンでもSFXが使われているようです。

通なら動物モノとかスポーツモノであれば、そこそこの感動とか、シンミリさせるシーンがありそうなものですが、この映画では、そういう寄り道をせず、ひたすら設定と、役者の面白さで笑いをとるのに専念しています。ジャンと恋人のエピソードだけは一応、まともにラブストーリーにしているのですが、それすらラストで茶化してしまいます。強引な展開ですが、要所要所の笑いのツボをきっちりおさえて、大人から子供まで楽しめるコメディになっています。サッカーのファンでなくても大丈夫。私のような動物好きでない人間でも十分に堪能できる、お気楽娯楽篇の一本です。よく考えりゃ「犬が人間になる」というそれだけのネタでこれだけ笑えて楽しいコメディにしてしまうというのは、アラン・シャバ、只者ではありません。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点2点0点 GWの大穴的な存在。ホント面白いからお薦めしちゃう。
ヒロインのカロリーヌ・セリエがチャーミング
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