夢inシアター
みてある記/No.49

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フェイス/オフ
フェイス/オフ

-FACE/OFF-

顔面を入れ替えて対決する凶悪なテロリストとFBI捜査官。荒唐無稽なストーリーを香港のジョン・ウー監督が期待を裏切らないド迫力娯楽アクションに仕上げました。

1998.2.28 本八幡文化にて


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やぁ、面白かったですねー。ストーリーは笑っちゃうくらい荒唐無稽だし、あとから考えるとなんだかヘンという場面も一杯あるのですが、見ている時はそれほど違和感を感じなかったのが不思議なくらい。きっと映画全体のテンションの高さにこちらまで巻き込まれてしまったんですね。ともかく見た後気分がスカーッとする大娯楽アクションです。

ロリスト、キャスター(ニコラス・ケイジ)に最愛の息子を殺されたFBI捜査官のアーチャー(ジョン・トラボルタ)は、6年間におよぶ執念の追跡が実を結び、ついに彼を逮捕することに成功します。けれどこの極悪テロリストは逮捕の直前、公共の施設に爆弾を仕掛けていたらしいのです。そこでアーチャーは、逮捕時の激しい銃撃戦で植物状態になってしまったキャスターの顔を借りて彼になりすまし、彼の弟から情報を入手すべく弟が収監されている刑務所に入り込みます。一方、奇跡的に昏睡状態から醒めたキャスターは、顔がない自分にびっくり。けれど、残されたアーチャーの顔を得てテロリスト仲間とともに反撃を開始するのでした。

まぁ、文字どおり顔の皮を剥いで取り替えて、輪郭どころか体形まで変わって傷あとも残らない、しかも殴られようがぶつかろうがビクともしない、そんな美容整形が可能なら、真っ先に私が受けてみたい!なんて突っ込み入れたくなっちゃうようなお話なんです。でも、まことしやかな手術シーンを見ていると、こんなありっこない状況を威風堂々(?)と作ってしまう作り手の臆面のなさに何となく圧倒されてしまうんですね。この顔を取りかえっこした二人俳優の、マンガチックなくらい大袈裟な演技合戦も楽しくて、それに加えてハデハデなアクションは、もうすごいド迫力で迫ってきます。

の種のドンパチ映画って、格闘にせよ銃撃戦にせよ、動作は早いし、人間は入り乱れているし、映像にするとなにがどうなっているのかよくわからないことがよくあるんですね。でも、この「フェイス/オフ」はスローモーションが効果的に使われていて、一瞬の勝負どころをじっくりと見せてくれるので、アクション映画を見慣れていない私でも「そうそう、ここが見たかったのよ」となどと思いながら大いに楽しむことができました。それに、アクションシーンにリズム感があって、あくまでもスタイリッシュ。映像があまり汚くないところも気に入りました。

ンパチのアクション映画ではありますが、観客の情に訴えてくるしめっぽさのサジ加減もなかなかいいです。善悪二人の主人公が入れ代わることによって、それぞれの心の痛みや回りの人々との関り合いまでも経験することになるのです。アーチャーは憎い息子のカタキに愛人と息子がいることを知り、キャスターのほうはすっかり善人ぶって捜査で手柄をたて絶大な権力をゲットします。仕事一辺倒だったアーチャーと違い、どういうわけかキャスターは家に帰ればいちおう良き夫、良き父親。無理矢理連れて行かれた息子の墓参りで、彼が何を思ったのやら。まぁ、結局根っからの極悪人なので、改心するということはないでしょうが、このあたりの彼らの入れ代わり体験が大変面白いです。

じるジョン・トラボルタとニコラス・ケイジ、両方ともケレン味たっぷりと楽しそうに役になりきっています。善と悪で表情や目つきがガラリと変わるところにご注目。さり気ない会話や小道具による伏線があとになって生きて来る脚本の巧さもさすがです。

魔女っ子★マキ
88721053@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点2点0点 ラストのボート・チェイスでドキドキさせて最後のオチでジーンときます
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