夢inシアター
みてある記/No.47

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ゲーム
ゲーム

-THE GAME-

金持ちオヤジが巻き込まれた世にも恐ろしいゲームの正体、ええ、そ、そんな!

1998.2.8 神奈川 横浜東宝にて


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金持ちニコラス(マイケル・ダグラス)の48歳の誕生日、ドラ息子だった弟のコンラッド(ショーン・ペン)がプレゼントだといって1枚のカードを渡します。それは、CRSという会社の紹介状。ニコラスが訪ねてみると、その会社は彼にあるゲームを提供するというのです。そして、それにはきっと満足いただけると、自信たっぷり。ともかくも試用期間の契約を取り交わすニコラスなのですが、その日から彼のまわりで不思議な事が起こり始め、ついには彼の財産や命までが危なくなってくるのです。何だ、このゲームはと、彼が思ったときには、すでに彼はゲームにからめとられていたのです。

Deborah Kara Unger
Deborah Kara Unger
illustration by T.Arai
「セ
ブン」のデビッド・フィンチャー監督による、純正スリラーの一品です。傲慢で孤独な金持ちニコラスが、とんでもない目に遭うという物語に、結構「どっひゃー」という結末がつきます。この彼が参加する羽目になるゲームってのは目的も不明、ゴールも不明というもので、プレステなんかのアドベンチャー・ゲームに近いものがあります。でも、プレステならどこからゲームを始めて、どこでやめるのも自由なのですが、こっちのゲームは巻き込まれたらそれっきりの、恐ろしいゲームです。いつ間にか主人公のまわりの人間が全て一丸となって、彼を監視し、彼をはめようとしているみたいに見えてきます。ルールのないゲームだから、どこからどこまでがゲームなのか彼にはわからないのです。観客もゲームのルールがわからないので、主人公のまわりで起こる不思議な事件の目的がまるで見当がつかないのです。

ういう意味では、かなり強引な脚本と言えなくもないのですが、演出はなかなかに、巧妙に観客をミスリードしていきます。特に中盤、巨大な陰謀らしきものがその輪郭を現すあたりから、ジェットコースタームービーのような様相を呈してきます。ラスト近く、主人公が正体不明の敵に対して反撃を試みようとするあたりの畳み込みが圧巻です。

Michael Douglas
Michael Douglas
illustration by T.Arai
人公の周りに、ショーン・ペン、キャロル・ベイカー、アーラン・ミューラー・スタールといった善悪の区別がつきにくい面々を配して、主人公の疑心暗鬼が、観客の疑心暗鬼に直結するようにしたあたりがお見事でして、さすが、「セブン」でラストのブラッド・ピットの葛藤を、観客の葛藤に同化させたフィンチャーだけのことはあると感心してしまいます。

末については賛否両論出るとは思いますが、その結末まで引っ張ってきた演出は評価されていいと思います。シネスコの大画面をフルに使い切った画面設計、まるでサブリミナル効果のように低音でうなり続けるハワード・ショアの音楽などの仕掛けを駆使して、残酷シーン、ショックシーン一切なしでこれだけのスリラーにしてしまうのは只者ではありません。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 ショーン・ペンの胡散臭さがこのゲームのカギ?
ゲームのプレイヤーは誰だ!
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