夢inシアター
みてある記/No.46

dummy
dummy

タイタニック
タイタニック

TITANIC

悲劇の海難事故に散った身分違いの恋を、監督ジェームス・キャメロンが空前のスケールで描く大スペクタクル・ロマン。

1998.1.30 ららぽーとスカラにて


dummy

「タ
イタニック」は製作費実に240億円、5年にわたる緻密な調査を元に、実物大の船とそれがすっぽり入る巨大なタンクを作り、船内の高価なインテリアと調度品の細部に気の遠くなるような手間隙をかけ、20世紀最悪と言われる海難事故を圧倒的な映像で見事に再現、まさにハリウッドの底力を見せつけられたような大スペクタクル映画でした。

客2223人のうち、助かったのはたったの700人あまり。最初から救命ボートが足りず、1等船室の船客を優先するために3等船室の出口には鍵がかけられていました。救命ボートには我先にと船客が殺到、人々は争い銃声が響く一方、最後の最後まで楽団員は音楽を奏で続けたのでした。沈没後も氷の海に投げ出された人々を助けるために戻るボートはなく、救援船が着くまでにほとんどの人たちが凍死してしまいました。事故に関するディテールを忠実に再現しながらも、この映画はタイタニック号の処女航海から沈没までの5日間を、若い男女の絵に描いたようなロマンスと同時進行で描いているところが大きな特色となっています。

スペクタクルものにふさわしく、描かれる悲恋も少女漫画的なシンプルなもので、演じる俳優たちもマンガの人物が実物だったらこうなるだろう、というマスクとキャラクターをそのまま持って来たところが正解だったと思います。登場人物たちのキャラクターは悪役・善人すべて「裏」はなく、観客の予想どおりに行動して、期待どおりの(?)悲劇へと突き進んでゆきます。われら主人公たちの美しいロマンスも、最後には2223人の生と死、愛と憎しみのドラマ同様、直立した船尾とともに渦を巻きながら氷の海に飲み込まれてゆくのでした。

優たちはすべてびしょ濡れの大奮闘で、特にヒロイン役のケート・ウィンスレットの熱演は大変なもの。他のキャメロン映画同様、今回もヒロインは単なる飾り人形ではなく、愛を知り困難に出会い次第に強く成長してゆく一人の女性として描かれているので、ケートのクラシカルな美しいマスクにちょいミスマッチな丈夫そうな身体(この皮下脂肪で命拾いしたのかも?)も、ディカプリオ顔負けのアクションシーンを見れば大いに説得力ありというものです。

オナルド・ディカプリオは本来童顔ゆえ、ケートのほうがどう見てもお姉さんに見えてしまうのですが、これはご愛敬。「ツバ飛ばし」のシーンとか、二人で船の先端で風を切るシーンなどはいいですね。あと、晩餐会での正装場面はまぶしいばかりの美しさでキメてくれて、ただの童顔スターじゃないぞってところをしっかり見せてくれましたね。

ていて思わずうれしくなってしまったのが、恋敵を演じたビリー・ゼーン。いやぁ、期待どおりの悪役でございました。ねちっこい目つきとか意地悪な眉の動きなど、表情の作り方がディズニーアニメの悪役をそのままじゃないですか。最初から最後までどれを取っても卑劣な奴で同情の余地なしというのがいいですね〜。唯一の弱点がヒロインへの惚れた弱みで、大事なお宝入りのコートをうっかり彼女の肩にかけちゃったことが、もしかしたら何十年後の彼の命取りになったのかも?というのが、なんとも皮肉なことです。

沈のモリーを演じたキャシー・ベーツは出演場面は少ないものの、その存在感は圧倒的でした。この女性は実在し、彼女にまつわるお芝居や映画がいろいろあるそうなのでいつか見てみたいと思っています。

スト、ヒロインが人生という長い旅を終え、ようやく懐かしいあの場所に帰って来ると、そこには知った人たちが正装し、当然のように暖かく迎えてくれる・・・宝塚の大階段みたいなフィナーレが泣かせますね。

魔女っ子★マキ
88721053@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点2点1点 映像の迫力に負けない俳優のミーハー的魅力も十分。
dummy