キャリア・ガールズ
carrier girls
女二人の久々の再会、よくある話にちょっと偶然をブレンドしまして。
ニー(リンダ・ステットマン)は学生時代の友人ハンナ(カトリン・カートリッジ)に会うためにロンドンへとやってきます。二人は学生時代のルームメイト、ちょっと突っ張った感じのハンナと、喘息皮膚炎持ちでおっとりタイプのアニーがいいコンビでした。一度は三角関係になったりもしました。また、オタク系デブとアニーがお互いに好意を持ちながら、恋愛に至らなかったこともありました。それでも、お互いを自分のよき理解者として、いい関係を保ってきました。久々の再会で、二人はハンナの部屋探しに行く事になるのですが、そこで意外な出会いと別れに遭遇することになります。
年は「秘密と嘘」が公開されたマイク・リー監督の新作です。今回も具体的な脚本を作らないという映画作りをしているそうですが、主人公二人の息使いが感じられる不思議な味わいのドラマとなりました。もっと言うと、ドラマらしいドラマがないので、味わいその物、或いはその映画の空気を楽しむ作品という感じです。
しぶりに会った二人のなんとなくぎこちない会話から、回想シーンの展開に伴って、昔のような関係が戻ってくるところが、非常にきめ細やかに描かれます。お互いの近況を報告しあうあたりのささやかな距離感なんてものすごくリアルです。そして二人の若いころが回想シーンとして描かれるのですが、回想シーンでの二人と、現在の二人があまり変わっているように見えないのが面白いと思いました。
して、その過去と現在とのはざまから、二人のキャラクターがじわじわと滲み出してきます。それも、非常に好感の持てる形で見せてくれるのがうれしいところです。欠点とか長所とかを意識させず、そのありのままの二人を暖かな視点から描写しています。何ということもなく、見ているうちに二人の女性に惹かれてしまう、そんな作りになっています。
体を通して、何だか1枚のポートレートを見るような趣のある映画です。そこに写っているアニーとハンナの二人は特別な誰かではない、ありふれたキャラクターです。ところが、そんなありふれたキャラクターがいとおしく見えてくるという展開がうれしい作品です。まるで違うキャラクターの二人ですが、どちらも現実に対して、率直で真面目なのが、好感が持てるのですよ。全体的なムードは基本的にコミカル、でも要所要所でホロリとさせるものがあります。
ジャックナイフ 88721053@people.or.jp
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二人に関わる男性陣がちょっと情けないのが困っちゃいます。 感動はしないけど、心に残る映画。 |
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