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<出演者>
ロンドンでも最近、不定期公演されているという事だったのですが、今回の旅程と合わずに悔しい思いをしていたところ、ちょうどウィーンでも上演中という情報が耳に入ったので、何が何でも観てやるぞ〜と張り切っていたんです。でも、現地在住の人から、劇場の場所が夜のおねえ様方が商売しているような、あまり治安の良くない所なので、あまり近づかない方が良いというご注意を頂いてしまい、泣く泣く諦めたという経緯があったものですから、ロンドンで上演中と聞いた時には、思わず空高く飛んで行ってしまいそうでした。 この公演を見た頃は、既にロンドンに到着してから何本かミュージカルを観た後だったので、劇場はどこでも徒歩圏内だから・・・とちょっと油断してしまいました。いつもの通り、少し早めの夕食を摂ってから、珍しく地下鉄に乗って(といってもたったの3駅ですが。)ロイヤル・ナショナル・シアターに出かけたのですが、初めての場所という事もあってなかなか辿り着けず、開演時間は迫ってくるし、でも観る前に行くべき所には行っておきたいし (^^; で、最後には全力疾走状態でありました。何しろ、ロイヤル・ナショナル・シアターという名前からして、由緒ある古い劇場だと勝手に思い込んでいたのですが、内部に大小3つの劇場を抱える近代的なビルだったので、すっかり迷子になってしまった挙げ句、やっと客席に入れたと思ったら、自分の席に知らない人がちゃっかり座っていたりして、どうにか開幕に間に合ったのは奇跡と言ってもいいくらいの状況でした。 そんな訳で、心臓がぱくぱくしたまま、あれよあれよという間に1950年代の、ネオン輝くブロードウェイに連れて行かれてしまったのですが、いや〜めちゃくちゃ楽しかったー! ストーリーは年長版ボーイミーツガールとでも申しましょうか、ブロードウェイにたむろする、気のいいチンピラ・ギャンブラーどもと女たちの、何だかんだと言ったって、所詮男は女のためにエンヤコラなのよねーという、ちょっぴりロマンチック、でもほとんど脳天気といったお話なんですが、ロンドンに居ながらにしてブロードウェイにひとっ飛びというのも愉快な気分です。殆どイギリス人と思われる出演者の皆さん、何だか陽気なアメリカンになりきっていらっしゃいましたし。 この作品の見所を挙げるとしたら、日本版、来日版を問わず、ギャンブラーどもが賭けに負けて、イヤイヤ救世軍の教団ミサに参加して懺悔させられる(商売柄、彼らは懺悔のネタには事欠かないものねぇ。)「座れ、ボートが揺れる」のコーラス場面がまず一番に思い浮かぶのですが、今回のロンドン版もすごいノリでした。いわゆるショー・ストッパー的な役割を果たしているようで、一度この場面が終わると、割れんばかりの拍手と歓声で次の場面に進めず、「しょうがねぇなぁ。」という感じでアンコール。で、客席の手拍子と一緒にそっくりやり直しても、まだ拍手止まず、またアンコール。都合3回は同じ場面を見せてもらった訳ですが、それでも次の台詞が始まってしまった時には、なーんだ、もう終わりなのかーと、過ぎ行く時間が恨めしかった程です。 実はこのアンコール、日本での上演時にはお目にかかった事がありません。でも大昔にロンドンでこれを観た経験のある友人に話を聞いて以来ずうっと、このアンコールを観たい観たいと思い続けていたので、ようやく夢叶ったという所ですが、これだけの期待をも満足させてくれるパワーは、まったく素晴らしいですよね。 これ以外で、日本版には無く、昔の事ゆえ記憶もおぼろなのですが、多分来日公演にも無かった部分が、フィナーレの演出。ロンドン版では全員再登場して挨拶の後、ここで元気に溌剌と、タップを踏んでくれるんですよ。かなり年配の俳優さんも多いというのに、このびっくりプレゼントは、本当に嬉しかったです。こういう舞台と客席の気持ちがぴったりと重なった瞬間というのが、生の舞台の魔力。だからついつい劇場に引き寄せられてしまうんだなー。 この作品は、若かりし頃のマーロン・ブランドとフランク・シナトラの出演で、映画化もされているので、映画を見た方は「誉めすぎ!」と思われるかもしれませんね。でも、今あの映画を見ると、さすがに時代を感じてしまいますから、マーロン・ブランドの歌が聞いてみたいと言うのならともかく、生きの良い『Guys and Dolls』に触れてみたいのなら、断然舞台を観るに限ります。それに映画だと、この作品の第二テーマとも言える、主役二人のデュエット・ソングの「はじめての恋」が無いんですもん。やっぱり舞台よ、舞台。 |