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正直言って今年の「ヘラクレス」は、去年の「ノートルダムの鐘」の映像美に圧倒された目で見ると、映像面ではかなり見劣りがします。音楽も覚えやすくてまずまずなのですが、今一つ深みに欠けるかな?という気がしないでもないです。ただ、私は個人的に「ノートルダム」よりも今年の「ヘラクレス」のほうがずっと好きです。分かりやすいストーリーとテーマ、夢と冒険、そしてユーモアと感動、圧倒的に子供が見ることの多いアニメはやっぱりこうでなくっちゃ!と思いました。 また、今回は主役よりもヒロンのキャラクターが大変魅力的でした(ただ、彼女の健気さにホロリとしたのは大人の感覚で、子供たちに理解できるかは疑問なのですが)。最初彼女は悪の手先として登場するので、顔も目鼻パッチリの美人系からはハズれています。切れ長でつり上がった目は、昔のディズニーアニメなら さしずめ意地悪なお姉さんの役どころだったのではないでしょうか? キャラクター人形にしても愛敬がないので売れないのでは?と心配になってしまうこのヒロイン、もう男はこりごりと言いながら実はとても情の深い女性なのです。知よりも情の部分を表に出して女性を描いている点も、最近のディズニーのヒロインとはひと味違っていて、私の目にはむしろ新鮮に映りました。 一方ヘラクレスは、今回の敵役ハデスが弱点を探すのに苦労するくらいですから、個性の面でも今ひとつなんですね。まぁ、神の国の生まれとは言え、見た目はフツーの白人なので、個性を出せと言っても難しいかも知れませんけど。ヒーローの成長物語としては、養父母に育てられた少年時代の彼が自分の生い立ちを知りヒーロー・トレーナーのフィルに弟子入りするまでの前半のほうが楽しめました。 面白いのは敵役として登場するハデス。今回の敵役は意外なことにあまり強くないのがご愛好。直接手を汚す事なく姑息な策略をめぐらし手下の化け物を使ってオリンポス打倒を企むという、ケチな悪玉です。フランケンシュタインを細オモテにしたようなマヌケっぽい顔をしておりまして、頭の上にいつも青白い炎(怒った時には真っ赤に燃え上がる)がもやもやと燃え上がっております。エンドロール最後のお遊びは、あんまり彼の最期があっけなかったので、欲求不満な観客のサービスかな?とも思えました。
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