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カチンコ 学校の怪談3

魔女っ子★マキ
(88721053@people.or.jp)
'97/7/29 南船橋ららぽーと東宝にて
夏休みお子様向け映画の定番となったシリーズ、今回は監督・脚本を一新し見事に心機一転した第3作目です。

1作目は1学期最後の終業式、2作目は春休みの塾の合宿と、それぞれ子供たちの年中行事を舞台にしているこのシリーズ、第3作ではいよいよ2学期最大の行事「運動会」が登場しました。舞台はとある小学校の運動会当日。この学校の児童の間にはタイチという病弱な少年が亡くなって以来、二人三脚で転んだ児童が神隠しにあってしまうというウワサがまことしやかに流れておりました。運動会が終わって後片付けをしていた教師(西田尚美)は、物置の中から奇麗な姿見を発見。しかしそれは長い間行方不明になっていた「タイチの鏡」だったのでした。

さてさて、この「タイチの鏡」に次々と吸い込まれてしまった教師と子供たちが体験する鏡の中の不思議な世界とは?というのが今回のお話です。今までは古い校舎が舞台だったのですが、舞台を鏡の中という異次元の世界に移すことにより、学校ばかりでなく塾や町の中など子供たちが体験するワンダーランドが大きく広がりました。特に夜のようであってどこかヘンな雰囲気の漂う屋外シーンの映像がとても印象的です。

ただ、今回は登場するおばけの数とアイデアが今一つで、いよいよタネ切れかな?という印象を受けました。特に前2作の冒頭で登場したメリーさんのスイカとか、岸田今日子のロクロ首級の強烈に恐くてブキミなおばけがいなかったのがちょっと物足りなかったですね。一方登場する子供たちのキャラクターとそれにまつわるエピソードはなかなか魅力的でした。特に印象に残っているのは「のび太」の実写版みたいなボケ演技が楽しかった真琴君(山田一統)と、子供のくせにミステリアスな雰囲気を持った幽霊少年・タイチ君(ヒガタケル)です。

実はこの3作目、監督・脚本が前2作の平山秀幸・奥寺佐渡子コンビから金子修介・しまだみちるコンビに変わっているんですね。金子修介さんと言えば「ガメラ新シリーズ」でお馴染みの監督さんなので、ファンの方も多いのではないかと思います。そういう目で見ると、1作目と(2作目はお話にならないのでパスです)この3作目は同じシリーズでもテイストが全く違っているのに気付かされます。金子監督によればファンタジー色の強かった前作と違い今回のコンセプトはパラレル・ワールドだそうで、恐がらせ方も突然ワッと脅かすお化け屋敷のそれに似ています。甘酸っぱい郷愁を感じさせた1作目ではクライマックスにグチャグチャのエイリアンが登場しましたが、今回は骸骨のロストワールドというわけで、この2つのお化けを比べてみてもオリジナルと第3作との湿り気(?)の違いがよく現れていると思いました。

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点1点(7/10) 子供に安心して見せられる怖さです。
演劇でおなじみ野田秀樹の怪演が見物です。