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4年前に何人もの犠牲者を出した、あの事件があったにもかかわらず、インジェン社はもう一つの恐竜生息地を温存していたのです。そこを人の手に触れないようにしようとしていたジョン(リチャード・アッテンボロー)ですが、インジェン社の会長はこれを金のなる木と考えてました。ジョンはマルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)以下4名の調査チームを島へ送り、会長はハンターチームを率いて島に乗り込みます。島の中は弱肉強食の恐竜天国です。早い所引き上げた方がいいというマルコムに、チームの一人で恋人のハーディング(ジュリアン・ムーア)は自分の恐竜に対する理論を検証しようと頑張るつもりです。しかし、ハンターチームがTレックスの子供を囮にしようとしたあたりから、親レックスの怒りを買ってしまい、両チームひっくるめたサバイバルレースが切って落とされるのでした。 前作の「ジュラシックパーク」は結構好きでした。何しろ、こわい恐竜が出てきて、人間は命からがら逃げるのが精一杯というお話でしたし、また、近来希に見る、児童]虐待映画でもありました。生意気な子供が、執拗に死ぬほど怖い目に会うのを見て、溜飲を下げた人もいたのではないでしょうか。(あ、そう思ったのは私だけ?どうも失礼しました。)ともかくも、人間には手も足も出ない領域があるのだ思わせるところが、気に入ってました。 今回の「ロストワールド」は、「E.T.」と「ハタリ」を足して、「エイリアン2」をぶっかけたような映画です。オープニングからして、秘境冒険活劇のノリですし、恐竜の群れをバイクやジープで猛獣狩りするあたりの迫力は十分、そして、ハンターチームの人間たちが次々と恐竜の餌食になっちゃうあたりは戦争映画みたいです。恐竜の効果は前作よりリアルでかつカット数も多く、クライマックスには、怪獣映画ファンならぞくぞくするような趣向もあります。 一方、今回は、秘境冒険アドベンチャーのやな部分も出ているのですよ。同じマイケル・クライトン原作の「コンゴ」と同じような発想とでも申しましょうか。遺伝子工学で恐竜を蘇らせておいて、そいつらをある島に囲って放っておくのが自然保護だって言うんですよ、ジョン・ハモンドじじいが。金もうけのためにそいつらをアメリカへ連れて行こうというハンターは悪みたいにも言う訳です。自分から種まいといて、ええかっこ抜かすこのじじいに、しっぺ返しを食わせるのかと思いきや、そうならないあたりが、面白いところです。結局、これで人間は再生恐竜達の創造主であり、保護者である、いわゆる神のような存在になっちゃうんですよ。前作にあった「畏れ」の部分が、「恐竜保護」に置き換わっているのですが、これが西洋人の発想なのかなと思うと、興味深いものがあります。こんなコンセプトで宮崎駿がアニメ作ったら、ボコボコにバッシングされそうな、怪しげなエコロジーの世界が展開します。 じゃあ、この映画はダメなのかというと、そんな事はない訳でして、娯楽映画としての仕掛は上々ですし、見せ場の釣瓶打ちで十分にモトがとれる映画になっています。さらに、西洋人の自然に対する考え方を知る一助にもなるというおまけも付いてくるという訳です。怪しげなエコロジーと言いましたけど、この映画でも環境保護団体の人間が登場するのですが、こいつが捕まえた恐竜を逃がしたおかげで、ハンターチームが装備を失い、恐竜の餌食になる発端を作ってしまうのですよ。にもかかわらず、こいつは映画の中で悪役になっていないのです。うーん、文化比較という意味でも結構奥が深そうです。 ジョン・ウィリアムスの音楽が、打楽器主体のダイナミックな音作りで、デジタルサウンドの良さもあって、聴き応え十分です。エンドクレジットの音楽にまで、思わず耳を傾けてしまいました。
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