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シカゴの新聞記者3人が天使と同居してるという老婦人からの手紙をもとに取材に出かけます。ウソだろうと思っていたら、ホントにいやがったよ、天使。タバコ吸うし、ビール飲むし、デブデブボディで、でも翼だけはちゃんと背負ってるという天使。でも彼の近くに行くと、パンの焼ける香ばしい香りやクッキーの香りがするんですって。彼をシカゴへ連れて行こうということになるんだけど、この天使が腕っ節は強いは、女にもてるはで、なんだかすごいの。しかし、何しに来たのかしら、この自称天使のマイケルくん。 天使がこの世に舞い下りたというお話です。その天使を演じるのが、ジョン・トラボルタというのがミソ。中年オヤジだけど、キュートでセックスアピールのある天使をほとんど地じゃないかと思わせる演技で、強烈なインパクトあります。翼がなかったら単なる躁状態のあぶないオヤジというキャラクターを天使に見せてしまうあたりは、トラボルタの人徳なのでしょうか。 この強烈なキャラクターに対抗する新聞社側の人間にウィリアム・ハート、アンディ・マクドウェル、ロバート・パストレッリ、ボブ・ホスキンスという鉄壁の演技陣を擁したところがお見事です。この4人も含めて、この映画に登場する人間は皆、どこかしら欠点を持っているのですが、それでも好感の持てるキャラクターになっていて、この映画にホンワカとしたムード与えています。ちょっとリアリティはないけど、映画ならではの善意のファンタジーになっています。特に敵役かと思っていたボブ・ホスキンス編集長の、ラストでハートを呼び止める時のセリフに、ホロリとさせるものがありました。 この映画のメインとなるのが、中年カップルのハートとマクダウェルの恋の成り行きです。ハートは物書きの才能はあるけど、人間関係が今一つ。一方のマクダウェルは離婚歴のある、なんだか胡散臭い天使の専門家として登場します。2人ともなかなかいい雰囲気にならないのですが、これをマイケルが仲を取り持とうとするあたりから、物語が見え始める展開になっています。天使云々は聖書の知識がないとしんどいですけど、こちらの大人の恋の物語は、私のような、聖書チンプンカンプンの人間にもすんなりと入っていけます。前作の「めぐり逢えたら」でも、大人の恋、しかもじれったいのを描いてうまいところを見せたノーラ・エフロンが、ここでも実りそうで実らない恋の顛末を、ちょっと一呼吸はずした独特の間で、楽しく見せてくれます。 このマイケルが質問されたり、何かやれと言われて「それは自分の領域じゃない」とすっとぼけるところとか、モーテルの食堂で女の子と簡単に仲良くなっちゃうあたりの可笑しさとか、笑えるところもたくさんあって、楽しい映画です。ただ。マイケルが何をしに現世にやってきたのかが今一つよくわからないところがあって、彼を狂言回しにした大人の恋の物語として観た方がとっつきがいいような気もします。エンドクレジットにSFXスタッフとして「スター・ウォーズ」のケン・ローストンとか「エイリアン3」のアレック・ギリスとトム・ウッドラフの名前があって、SFX映画でもあったのかと気付かされるという、なんとも不思議な映画であります。
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