みてある記 ロゴ25pt.

カチンコ 身代金

魔女っ子★マキ
(88721053@people.or.jp)
'97/2/25 新宿アカデミーにて
「コクーン」「バックドラフト」「アポロ13」など、ファンタジー、コメディーから重厚な人間ドラマまで守備範囲の広いことで知られるロン・ハワードが主演にメル・ギブソンとレネ・ルッソを迎えて監督したサスペンスドラマ

最愛の息子を誘拐された父親が、犯人の身代金要求をはねつけ、FBIや妻の反対を押し切り突拍子もない行動に出るという話で、その辺が誘拐事件を扱った今までの映画とは違った切り口になっています。父親の取った行動がどんなものかは、まだご存知ない方のためにここでは伏せておきますが、ただ、映画を見たあとで思ったのですが、彼の予想もつかない行動を最初に宣伝でタネ明ししてしまったのは、映画を楽しむ観客の立場から言うと逆効果だったのでは?と私は思いました。というのも、裸一貫から富を一代で築き上げ、アメリカンドリームを体現した主人公の強いキャラクターと、演じるメル・ギブソンの個性がうまくハマっていて、それがこの映画の隠された見どころとなっているからなのです。
ransomメルは、目的のためには手を汚すことも辞さない強さの中にもろくて繊細な人間性が見え隠れする父親像を巧みに演じて、主人公の取った無茶とも見える行動に説得力を与えることに成功しています。事件が一見落着したあとこれで終わりかな?と思った頃にもう一つの山場がやって来ます。成功者の主人公とそれを呪うように憎む犯人との明と暗、この二人の対決は徐々に盛り上がり最後のクライマックスへと登りつめてゆきます。
ところで、アメリカでは誘拐事件は日常茶飯事らしいですね。その目的は身代金だけではなく、親権争いや人身売買などさまざまで、日本のようにいちいち報道管制を引くことはできないのかも知れません。だからこのような映画が成立するわけなんですね。あと、この種の映画では必ず主人公が銃の扱い方を知っていて犯人と同等に対決できる能力(?)を持ち合わせている、その辺がいかにもアメリカだなぁ、と思いました。

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点1点(7/10) 犯人グループの紅一点、リリー・テイラーが好演です